大相撲大阪場所 観戦記Part1 行司の掟 

2017.03.19 by 金子文

この記事の目次

大相撲大阪場所 観戦記  Part1

立浪部屋”ちゃんこ”体験から
一夜明けた15日、

いよいよ本場所観戦に行ってきました!

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さすが国技、

入場券もぴかぴかです。

入場券を見ただけで期待感が
高まります。

 

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テレビで相撲を見るときは

17時前くらいからの上位力士の
取り組みから見ていたので、

お昼頃から始まるのかと
思っていたのですが、

 

なんと大相撲は朝の8時半から
行われているのです!

 

 

前日に”ちゃんこ”でお世話になった
立浪部屋の力士さんたちの

 

取り組みも見たいので

 

私たちは朝の11時くらいから
会場に行きました。

 

会場に着くと、力士の名前が入った
「相撲のぼり」がずらっと
立てられていて、

華やかです。

 

入り口も大相撲仕様に
なっていて、

 

大相撲を見に来たんだなぁ

 

これからこの中でどんな
ドラマが繰り広げられるのだろうと

わくわくしました。

吊屋根の造り

 

中に入ると、まず目につくのは

大きな吊屋根。

おお。

 

テレビで見るのと同じ!

当たり前ですけど(笑)

 

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時間が早いので会場はまだガラガラです。

 

土俵下まで行って吊屋根を
撮ってきました。

 

吊屋根の造りは

伊勢神宮と同じ
「神明造」という
造りになっています。

 

相撲は古来、地鎮、鎮魂の奉納神事
でもあったため、

水引幕がつけられ、四隅には柱の
名残である4色の房が飾られています。

青、赤、白、黒の4色の房は
それぞれ四季

青龍、朱雀、白虎、玄武の四神を表し、

神聖な土俵を守護する役割があります。

 

(相撲協会パンフレットより)

 

なるほど、四隅に立派な4色の
房がさがっていますね。

 

幕内の力士が力水をつけて
もらうのは西が白房、東が赤房の下
と決まっています。

 

 

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土俵下で見る相撲
とても迫力あります!

お相撲さんが押しているときの

「シュッ」という

息遣いも聞こえてきます。

 

汗が飛んできそうなくらいの
距離感です。

 

よく、勢いあまった
お相撲さんが土俵から

 

飛び出して下に落ちる
ことがありますが、

 

あの巨体が落ちてきたのに
まともにぶっつかったら、

 

怪我をするので避けないと
いけません。

 

そういう時の避け方は、

”審判の親方の後ろに

隠れる”

のだそうです。

 

相撲通の金田 宗博さんに
教えて頂きました。

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(相撲応援歴40年の金田 宗博さん)

 

金田さんが、

「行司の衣装をみてごらん」

と言われるので、行司をよく見て
みると、

 

あっ行司の膝下がでてる!

しかも裸足!

 

いつもテレビでみている
金ぴかの衣装の行司と

あきらかに衣装が違うのです。

 

お相撲さんと同じく、
行司にも厳しい階級制度が

あるそうです。

 

行司のお仕事や階級制度について
教えてもらったので、

 

今回は行司についてレポートします。

行司の豆知識

行司の仕事

行司は相撲の勝負を判定
するだけかと私は思っていましたが、

実は、その他にも
たくさんの仕事をされています。

【土俵祭の司祭】

本場所の前日には土俵祭というのが
行われます。

立行司(行司の一番位が上の人)が
祭主となり、祝詞を奏上し、

 

供物を捧げて場所中の安全と

 

興行の成功、さらには国家の安泰と
五穀豊穣を願います。

【土俵入りの誘導】

力士が土俵入りをする時、
先導します。

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横綱が土俵入りを披露する時も
後ろに控えます。

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(稀勢の里関土俵入り)

横綱が四股を踏んでせりあがる時に
行司は土俵に軍配の房をおろします。

その時に「しー」という声で
警告を促しながら、

房を時計回りに1回、反対回りに1回
回します。

これを

警蹕(けいひつ)の所作」

というのだそうです。

本来は、天皇や皇族の方々のお出ましの際に
先導の先払いが紐を振りながら声を発して

警告していたことに起因しています。

 

【進 行】

行司は古くは「行事」と
書いていて、相撲の

進行役を務めます。

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軍配を返して制限時間がいっぱいに
なったことを力士に知らせます。

 

力士を立ち会わせ、

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「のこった、のこった」と
力士に声をかけて奮戦を促し

はずれた”さがり”を土俵下によけたり

 

取り組みの最中に
まわしが緩んだら試合をとめ、
まわしを締め直しすなどします。

 

力士の動きをじゃましないように
素早く動き回りながら、

土俵際をしっかり見極めます。

 

【勝敗を決める】

対戦する力士を立ち会わせ、
決着がつくと間髪をいれず、

勝った力士に軍配をあげます。

 

二人の力士が同時に土俵の外に
出たと思える場面でも

行司はどちらかに
軍配をあげなくては

なりません。

 

だけど、行司は進行役なので
勝敗を決める最終権限はなく、

 

物言いがあった場合は

勝負審判の協議の判定に
従います。

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(行司は土俵際をしっかり見ています)

 

【決め手、懸賞のアナウンス】

「ただ今の決まり手は・・」

と”決め手”の館内放送をしている
のも行司です。

 

さらに意外だったのは、

懸賞のアナウンスも行司がしている
ということです。

 

人気力士の対戦はたくさんの懸賞が
かけられます。

 

「味ひとすじお茶漬けの永谷園

鮭茶漬けの永谷園

梅干し茶漬けの永谷園

大相撲を応援しますタマホーム

元気はつらつオロナミンC

トロッとキリッと黒霧島・・・」

 

 

等々、企業のキャッチコピーを
言いながら懸賞のアナウンスを
しています。

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【番付表】

相撲の番付表は

場所前に

筆達者な行司が、筆太の相撲文字で
10日かけて書きます。

隙間がないほどぎっしり
書くのは、

観客がぎっしり入るように

という願いが込められています。

 

番付表を書かせてもらえるのは
行司にとって名誉なことです。

 

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(大阪場所取り番付表)

 

【書 記】

取り組み結果の公式記録係

番付編成会議
取り組み編成会議の書記役

番付表、星取表の作成

顔触れ言上で披露する
翌日の取り組みを和紙に清書

などなど、書記の役目も
します。

 

【部屋の雑用や巡業の手配】

巡業の宿屋、列車の手配

後援会の連絡

冠婚葬祭の宛名書きなど

部屋の総務的な役割をして

部屋を支えています。

行司の階級

お相撲さんは

「序の口」から「横綱」まで、
10の階級に分かれています。

そして、相撲を裁く行司にも
厳しい階級制度があります。

 

そして、階級ごとに
衣装や、裁く番数が違います。

 

序の口の行司は1日に十番くらい
裁きますが、

十枚目格以上になると
1日に二番しか

裁きません。

 

そして最高位の
「木村 庄之助」

は結びの一番のみ
裁きます。

 

【行司の階級】

 

・序ノ口格

・序二段格

・三段目格

・幕下格

・十枚目格

・幕内格

・三役格

・立行司格 式守伊之助

・立行司格 木村庄之助

行司の最高位は「立行司(たてぎょうじ)」
です。

これは行司の横綱のようなものです。

 

行司の名前は代々引き継がれて
います。

 

行司の東の横綱と言われるのが

「木村 庄之助」

西の横綱が

「式守 伊之助」です。

 

「木村 庄之助」になるには、

「式守 伊之助」を経て
「木村 庄之助」が空席になった場合に
「式守 伊之助」が次の「木村 庄之助」

に昇格するという仕組みになっています。

 

現在の
「式守 伊之助」は40代目。

 

そして

行司最高位の

「木村 庄之助」は

2015年3月場所で
37代木村 庄之助が引退したあと、
その位を襲名できるふさわしい人物が
まだいないため、

 

現在、空席となっています。

行司の姓

行司は「木村さん」と
「式守(しきもり)さん」
しかいません。

 

江戸時代には多数の行司家が
ありましたが、

 

今では木村家と式守家しか
残っていないのです。

 

なので、行司は
このどちらかの姓を名乗って
います。

 

現在の上位行司は

 

立行司  式守 伊之助(しきもり いのすけ)

三役行司 式守 勘太夫(しきもり かんだゆう)

三役行司 木村 玉治郎(きむら たまじろう)

三役行司 木村 容堂(きむら ようどう)

三役行司 木村 庄太郎(きむら しょうたろう)

 

となっています。

 

行司は相撲部屋に所属する形を
取っています。

 

行司も入門当初は自分の
本名を名乗ることが多く、

経験を積むにつれ、先輩行司の名を
名乗ることが許されます。

 

相撲部屋で

木村家か式守家のどちらかが

すでに決まっているので、

 

行司入門時に
どの部屋に入ったかで

木村家と式守家の
どちらを名乗るかが

決まります。

 

最高位の行司は 木村 庄之助
二番目の行司は 式守 伊之助

 

と名乗ることが決まっています。

 

なので
最高位の立行司になれば、

木村姓、式守姓の

どちらも名乗ることに
なります。

 

行司になるには、
中卒以上、満19歳未満の男性という
年齢制限があります。

 

入門後は

相撲部屋での雑用をしながら、
行司の発声や勝敗の見極め方の

修行に励みます。

 

行司の衣装

行司の衣装は

階級で厳しく決められています。

【幕下格以下の行司の衣装】

幕下格以下の行司は「裸足」で

衣装の裾は短く

衣装の生地は一年を通して木綿です。

 

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【十枚目行司の衣装】

 

十枚目になると白足袋を
履くことができます。

衣装の生地も

夏は麻

冬は厚地の絹

になります。

烏帽子と軍配のひもの色は
を使います。

【幕  内】

幕内の行司になると
烏帽子と軍配のひもの色は

になります。

【三役格行司】

三役格行司になると
草履を履くことができます。

 

烏帽子と軍配のひもの色は
朱色になります。

 

【立行司】

立行司になると

左に脇差(わきざし)

右に印籠をつけます。

ひもの色は

式守 伊之助 紫白

木村 庄之助 

kimu

(36代 木村 庄之助)

になります。

そして衣装も紫の菊綴じ
(衣装の前についている丸い飾り)がついた
衣装を着用します。

 

紫は高貴な人だけが着用することが
できる色ですね。

 

立行司が脇差を差しているのは

 

大関や横綱の勝負を
命がけで判断し、

 

「軍配を差し違えた場合、
切腹して責任をとります」

という覚悟を示しています。

 

実際に切腹した行司はいませんが、

差し違えをした場合は即

進退伺いを相撲協会の理事長に提出
します。

 

土俵の美を担う行司には所作の美しさが
求められます。

 

まとめ

大相撲は日本古来の神に
捧げる神事で、

その儀式の
ひとつひとつの所作を
美しく、丁寧に行う

精神性を重んじています

(相撲協会パンフレットより)

 

今回は行司にスポットを当てて
大相撲を見てみました。

 

行司の

所作の一つ一つには
意味があります。

 

その意味を深く理解して、

精神力を高め
一切の無駄がない

一連の流れるような動きは

やはり長年の鍛錬の賜物
だと思いました。

 

 

神を敬う日本伝統の
行事には

 

日本人の魂がこもって
います。

 

相撲を支える、たくさんのプロの
仕事があって、

大相撲の場所が成り立っていると
いうことがわかりました。

 

この日本ならではの

崇高な精神世界

それに伴う美しい所作

に触れて欲しいと

今回、大相撲観戦ツアーを
企画して下さった金田 宗博さんは
願われています。

 

私も実際に大相撲を見たことで、

相撲の世界に興味を持つ
ことができました。

 

日本の伝統的な文化に
触れる機会を作って

下さった金田さんに感謝です。

 

金田さんは名古屋で

「教育を通じて人の成長にかかわる」

をモットーに

セミナー主催、経営コンサルをする

グロウス・エデュケーション(株)
を経営されています。

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次回は

大阪場所 観戦記 Part2

ベールに包まれた
枡席の秘密大公開!

”ちゃんこ”体験記も読んでね。

立浪部屋 ちゃんこ体験レポート

大相撲大阪場所 観戦記 Part2 枡席の全貌公開!

 

 

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金子文

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