前リッツカールトン日本支社長 高野 登氏 広島講演会レポート
この記事の目次
前リッツカールトン日本支社長 高野 登氏講演会
前リッツカールトン日本支社長 高野 登氏の講演会に
行ってきました。
高野氏が講演で話してくださった
最高のおもてなしをするためのリッツカールトンの
取り組みと
来たるべきシンギュラリティ
(AIが人類の知能を超える転換点)に向けて
私たちがこれからどういうスタンスで
社会と関わるのか、
その方向についてお話して下さいましたので、
レポートします。
高野 登氏前リッツカールトン日本支社長
1953年長野県生まれ。
プリンスホテルスクール(現:日本ホテルスクール)
第一期卒業後、渡米。
NYスタットラーヒルトン、NYプラザホテル、
SFフェアモントホテルなどでの勤務を経て
1990年にザ・リッツ・カールトン・
サンフランシスコの開業に携わる。
1994年、日本支社長に就任。2009年9月に
ザ・リッツ・カールトン・ホテルを退職し、
同年11月に「人とホスピタリティ研究所」
を立ち上げる。
主な著書に
『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』
(かんき出版)などがある。
リッツカールトンホテルは
お客さま一人一人に寄り添った
ホスピタリティー溢れる”おもてなし”をする
ことで有名な五つ星ホテルです。
リッツカールトンのmystique(神秘性)
リッツカールトンは
「いつかは宿泊したい」憧れのホテルです。
何年か前にリッツカールトン大阪にランチを食べに
行ったことがあります。
ホテルの中に一歩足を踏み入れると
クラシックでエレガントな調度品の数々で
まるでヨーロッパの中世の
お城に迷い込んだかのようでした。
フレンチレストランで友人と美味しいランチを
楽しみ、ホテルのスタッフに記念写真を
撮ってもらいました。
もちろん
リッルカールトンのmystique(神秘性)
と言われるあっ驚くような”おもてなし”は
ランチを食べに行っただけでは
体験することはできませんでした。
だけど、私たちが楽しい時間を過ごせるように
スタッフの細やかな心配りはさすがでした。
お客さまは区別します。
講演会で高野氏は
リッツカールトンではお客さまは差別しませんが、
区別はします。
と言われていました。
1回宿泊しただけのお客さまと
何度も宿泊するお客さまとでは
サービスの内容が違います。
当然のことながら
宿泊するたびにそのお客さまの
データーがホテルに蓄積されて
行きます。
名前や、出身地、家族構成、仕事内容、
趣味趣向・・・
そのデーターを見ながら
ホテルのスタッフはどうしたら
そのお客さまが喜んでくださるかを
本気で考えます。
チェックインする時に
フロントのスタッフが顔と名前を
覚えていてくれて、
名前を呼んでくれるとうれしい
でしょうし、
部屋に好みのコーヒーがさりげなく用意されて
いるかもしれません。
部屋でお仕事をするお客さまには
お仕事が快適にはかどるような
アイテムが用意されているかもしれません。
何度も来てくださるお客さまを
大切におもてなしする
ということは当たり前のようで、
実はできてないことなのかも
しれないと思いました。
仕事の報酬とは
仕事の報酬はなにですか?
と問いかけられたとき、
私は仕事の報酬はお金だと思いました。
だけど、それは違いました。
高野氏が言われた仕事の報酬とは、
思ってもいなかったことでしたが、
なるほど!と納得できる答えでした。
高野氏が言われる仕事の報酬とは・・
仕事の報酬とは、
”次の仕事をもらうこと”です。
一度ホテルに来てくださったお客様に
どうしたら次もリッツカールトンに
来て頂けるか、
スタッフはお客さまから見えないところで
脳に汗をびっしょりかくほど
真剣に考えているそうです。
それだけお客さまに心を傾けて接客しているので、
”最高のおもてなし”と言われるサービスが
生まれています。
スタッフは主体性をもって行動しています
リッツカールトンのスタッフは
主体性を持って行動しています。
組織とは
自分たちで考えて行動する、
1人1人が働きたくなる大きな装置のようなものです。
人は動かそうと思って動くものでは
ありません。
リッツカールトンはスタッフが
自発的に動く仕組みをじっくり長い時間をかけて
丁寧に作り上げています。
だから、うわべだけのノウハウを見てマネをしても、
リッツカールトンのような”おもてなし”は
できないのです。
立派な理念・ビジョンより大事なもの
企業の経営には、理念やビジョンが必要だと
言われます。
だけど、どんなに立派な理念やビジョンがあっても
経営がうまく行くとは限りません。
立派な理念やビジョンがあるのに
経営がうまく行ってない会社の問題点、
それは
半径3mの人間関係、
1m20㎝の会話です。
経営がうまく行っていない会社のほとんどが
ここがうまくいっていません。
経営がうまく行くには、
まず、身近な人との人間関係の構築が
最優先されるとのことでした。
すぐ近くにいるのに、
直接会話をせずに、メールなどで用件を伝えて
しまいます。
人は言葉だけでなく、表情や声のトーン、態度など、
非言語の部分で感情を読み取っています。
感情が読めないメールでは、
意図が伝わらず、誤解を招くこともあります。
自分の考えをきちんと相手と向き合って
伝えることが大事だなと思いました。
AIが人間の知能を超える時代に私たちができること
2045年、シンギュラリティが起こると
言われています。
シンギュラリティとは技術的特異点のことで、
AI(人口知能)が人間の知能を超える点のことです。
もうすぐそんな時代がやってくるのだろうなと
漠然と思っていましたが、
私の想像以上にAIが進化するスピードが
早いことがわかりました。
車もAIが運転できるようになるので、
人間が車を運転することはなくなります。
ロボットが
指をなめらかに動かすこともできます。
空を飛ぶAIも開発されているそうです。
今はアメリカの軍事機密なので、
水面下での開発ですが、
そのAIが表に出てくる頃には今の想像をはるかに超える
時代がやってくることになります。
ほとんどの仕事がAIに取って代わられる
時代がやってくるとき、
私たちはなにができるのでしょうか。
新しい価値を作る
これからはインテリジェンスの時代です。
インターネットが普及している今、
”知識”はすぐに手にいれることができます。
”知識”を学ぶことに意味がなくりました。
これからの時代は”知識”を活かして
新しい価値を創造する”知恵”が必要になります。
自分の固定観念、価値観に縛られて
いては、新しい価値は見つかりません。
視点を変えてみる、
今まではこうだと思っていたけど、
もしかしたらこうなのかも・・・と
仮説をたててみる
自分の思考回路を変えて
柔軟に発想する力が求められます。
私の言う「師匠」とは、
”新しい視点”を与えてくれる人です。
なので、年齢などは関係ありません。
私より若い人たちからもたくさん学ぶことがあります。
高野氏は関心のあるセミナーに足繁く参加し、
情報を取り入れられ、視点を増やされています。
それくらい、”自分にはない視点”から物事を見る
といことは重要なことなのだと感じました。
バリュープロポジションを見つける
知恵を磨いてあなたの
バリュープロポジションを見つけることが
大事です。
バリュープロボジションとは、
社会から求められていて、
他人が提供することができず、
あなただけが提供する
ことができる価値です。
他者とぶっつかると双方が傷つきます。
だから、他者とぶっつからない、
負けないポイントを見つけることです。
バリュープロポジションを見つけて、
社会に貢献することがこれからの
私たちの使命になります。
高野氏の講演を聞いて
高野氏のお話は、「おもてなし術」に
とどまらず、これからの大きく変化する時代の
中にあって、私たちがどうあるべきかを
わかりやすくお話して下さいました。
日本には昔
「諸国客衆繁盛」という言葉が
あったと高野氏が話されていました。
神社にお参りするときは
「私と取引してくださるお客さま
が繁盛しますように」
と自分の利益より先に相手の利益を
願ってお参りしていたそうです。
心のベクトルが相手に向いていました。
それが戦後
「商売繁盛」に変わりました。
これは自分の商売が繁盛するように
願う言葉で、自分にベクトルが
向いています。
自分にベクトルが向くようになって
他人を蹴落としても自分さえよければいい
とういような風潮になってきたように
思います。
AIが人間の知能を超える時代がやってくる今、
より”人間力”を高め社会に貢献することが
私たちが生き残る術だと思いました。
人間は本来、人の役に立つことに喜びを
感じる動物です。
私たち人間は、人間本来の役割に
たちもどる時がきたと思いました。
グローバルな視点を交えつつ
始終笑顔を絶やさずにお話をしてくださった
高野氏に新たな視点をもらうことが
できた、貴重な講演会でした。
主催してくださった石田 博美さん
スタッフの皆様、ありがとうございました。
金子文
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