アドラー心理学「尊敬」するということ
この記事の目次
「しあわせになる勇気」
引きこもりの日曜日
今日は久しぶりに
「しあわせになる勇気」
を読み返してみました。
忘れていたことあり、
新たに気づいたことあり、
この本から学ぶことは
たくさんあるのですが、
今回は「尊敬」すると
いうことについて
考えてみます。
アドラーは
「すべての悩みは対人関係の
悩みである」
と言っています。
この言葉の裏には
「すべての喜びもまた
対人関係の喜びである」という幸福の定義も隠されて
います。
私たちは社会という共同体の
なかで、どのようなスタンスで
他者と関わっていくと
しあわせになれるのでしょうか。
アドラー心理学の目標
人はみんな
よりよくなっていきたいという
欲求をもっています。
他者がいて、社会があるから
学ぶべき「知」があります。
「知」とは学問だけでなく、
人間が人間として幸福に生きる
ための「知」も含みます。すなわち、共同体のなかで
どのように生きるべきなのか。他者とどのように関われば
いいのか。どうすればその共同体に自分の
居場所を見出すことができるのか。
「わたし」を知り「あなた」を
知ること。
人間の本性を知り、人間としての
在り方を理解すること。アドラーはこうした知のことを
「人間知」と呼びました。
アドラー心理学には
行動面の目標と心理学面の目標が
あります。
【行動面の目標】
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
【行動を支える
心理面の目標】
①わたしには能力がある、という意識
②人々はわたしの仲間である、という意識
”ほめる”ことの功罪
私たちには
他の人から「認められたい」
という欲求があります。
この認められたいという「承認欲求」
を満たすものとして
「行動承認」と「成果承認」と
があります。
「行動承認」とは、何か行動したことを
認められるということです。
例えば、受験であれば、
志望校に合格するために
一生懸命勉強します。
この、
”一生懸命に勉強している”
行動を認られる
ということです。
「成果承認」とは、
受験生が受験した学校に合格したなど
”行動した結果得られた成果”を認める
ということです。
行動したことや、得られた結果を
ほめられたり、認められると、
人は承認欲求がみたされ、
モチベーションがあがります。
会社で部下を育成する場合や
子育てをする時にも
「ほめて伸ばせ」
と言われますし、実際、ほめることで
効果があります。
ですが、アドラーは
「ほめられる」ことや、
他者からの「承認」で
自分を満たすことを
否定しています。
どうしてアドラーは「ほめる」
ことを否定しているのでしょうか。
それは、「ほめる」という行為は
能力のある人が、能力のない人に
下す評価であり、
その目的は”操作”である
からなのです。
そして、
共同体は褒賞をめざした
競争原理に支配されていきます。
「他者はすべて敵なのだ」
「人々はわたしを陥れようと機会を
伺う、油断のならない存在なのだ」
というライフスタイルを身に
つけていくことになるのです。
承認の否定
そしてアドラーは他者から承認される
ことで自分を満たすことも
否定します。
なぜなら、他者から承認される
ということは、
他者の価値観にあった行動をした時や
成果をだした時です。
なので、他者から承認されるために、
自分の価値観ではなく、
他者の価値観で生きることになります。
他者の価値観で生きることは
自分で自分の人生の主導権を
握ることができない
ということになるのです。
自分を満たす方法
でも、私たちは
承認されたいと思っています。
自分の人生の主導権を握って
生きるには、
他者からの承認ではなく、
自らの自らによる承認に
よって自分を満たす
ことになります。
共同体の中で、
自分の居場所をみつけ、
「ここにいていいんだ」
と所属感を得ることが
できるのは
「わたしは誰かの役に
立っている」
と思えたときにだけ、
自らの価値を実感
することができます。
「幸福とは貢献感」
であるとアドラーは言って
います。
しかも、見返りを求めない貢献
です。
なぜかというと、何か人のために
役に立ちたいと思って、
わたしが貢献したとしても、
それをどうとらえるかは
相手の問題なので、
わたしが介入することが
できないからです。
実際、わたしも
人に何かをしてあげて、
喜んでもらえなかったら
「せっかく〜
してあげたのに!」
と腹を立ててしまうこと
がよくあります。
馬を水飲み場に連れて行くことは
できるけど、水を飲むかどうかは
馬の自由ということになります。
自分がした行動に対して、
相手が喜んでくれなかったことに
腹をたてるのではなく、
「相手のために自分が何か
してあげることができた」
という貢献できた行動に
幸福を感じることで、
自分を満たすことが
できるようになることを
アドラーは求めています。
そして、
ほめるのではなく、
「尊敬」
するということが重要です。
「尊敬とは、人間の姿を
ありのままに見て、その人が
唯一無二の存在であることを
知る能力」
承認には、
先に書いた
行動承認、成果承認の他に
一番大事な
存在承認
があります。
相手を「尊敬」する
ということは、
「ありのままのその人」
を認める
存在承認なのだと
思いました。
その人が「その人であること」
に価値をおき、
その人の成長や自立を
援助することは
その人にとって、大きな
勇気となります。
まとめ
人をほめることは
能力の高い人が能力の低い人に
対して行う評価であり、
褒賞をめぐって、競争が
おきます。
他者から承認をしてもらうことは
他者の価値観で生きることになります。
自分の価値観で生き、自分の人生の
主導権を握るために
他者からの承認を求めない
生き方をします。
自分で自分を承認するには、
他者に貢献し、
人の役に立っていると感じることです。
見返りを求めない貢献に
幸福を感じます。
アドラーのこういった思想は
究極の理想と言えます。
見返りを求めない貢献、
貢献できたことに幸福を感じる
ことができるのは
マザー・テレサ
くらいでしょー。
と思ってしまいます。
なかなかアドラー心理学の実践は
難しいなぁと思うのですが、
理想を知ることは大事ですね。
理想を知ることで
少しづつでも目指すところに
近づいくことができます。
金子文
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